をみたすxは存在するか。
という問いについて考えます。
\begin{equation} -1 \leq \sin x \leq 1 \end{equation}
なので、方程式\sin x=2を満たす解は「ない」というのは間違いです。不等式(1)はxの定義域が実数の時にのみ有効です。この問いでは、xを実数とは限定していません(高校数学では文字の定義に断りがない場合は暗黙に実数と了解されてしまうことも多いですが…)。三角関数の定義域は複素数にまで拡張できます。
以下はオイラーの公式
\begin{equation*} e^{ix}=\cos x + i \sin x \end{equation*}
を既知とするので注意してください(オイラーの公式がなにものか知らなくても、形式的にこの公式を受け入れれば、理解できます)。
必要な知識
- オイラーの公式
- 対数関数
- 2次方程式の解の公式
\begin{equation*} e^{-ix}=\cos x + i \sin (-x) = \cos x - i \sin x \end{equation*}
であるから、
これを\sin xについて解けば、
\begin{equation*}
\sin x = \frac{e^{ix}-e^{-ix}} {2i}
\end{equation*}
となる。これが2になるxを求めたい。
両辺にe^{ix}をかけて、
\begin{eqnarray*}
e^{2ix} - 4ie^{-ix} -1 &=& 0 \\
\end{eqnarray*}
となる。e^{ix}をXとおけば、上の式はXに関する2次方程式なので解の公式を用いて(注1)
\begin{eqnarray*}
X = e^{ix} = \frac{4i \pm \sqrt{3}i}{2} = (2 \pm \sqrt{3} )i
\end{eqnarray*}
となる。eを底とする対数をとれば(複素数の世界での対数の定義の詳細はこちら)、
\begin{eqnarray}
ix = \log ( 2 \pm \sqrt{3} )i = \log i + \log (2\pm \sqrt{3})
\end{eqnarray}
である。ここで、\log iについて考える。nを任意の整数とすれば
であるから、
\begin{eqnarray*}
\log i = i\left(\frac{\pi}{2}+2n\pi \right)
\end{eqnarray*}
である。これを式(2)に代入して、
\begin{eqnarray*}
ix = i\left(\frac{\pi}{2}+2n\pi \right) + \log (2\pm \sqrt{3})
\end{eqnarray*}
よって、\sin x = 2をみたすxは
\begin{eqnarray*}
x = \frac{\pi}{2}+2n\pi - i \log (2\pm \sqrt{3})
\end{eqnarray*}
である。
虚数は、
\begin{equation*} x^2+1=0 \end{equation*}を解くために導入されたという説明をされてきた人が多いと思います(歴史的には大嘘です)。数の世界を複素数まで広げることで、解けない2次方程式が解けるようになった訳ですが、虚数を用いることで実数の世界では解けない三角方程式を解くことができるようになります。
\begin{equation*} x^2+1=0 \end{equation*}を解くために導入されたという説明をされてきた人が多いと思います(歴史的には大嘘です)。数の世界を複素数まで広げることで、解けない2次方程式が解けるようになった訳ですが、虚数を用いることで実数の世界では解けない三角方程式を解くことができるようになります。
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