2015年3月16日月曜日

相反方程式の解法

次のような方程式を相反方程式逆数方程式と呼びます。
\begin{eqnarray*}
5x^4+4x^3+3x^2+4x+5&=&0 \\
7x^5+8x^4+3x^3+3x^2+8x+7&=&0
\end{eqnarray*}
上から順に、4次,5次の相反方程式です。係数が左右対称になっています。
もちろん、より次数の高い相反方程式も存在します。

実はこの相反方程式、高次であっても比較的簡単に解くことができます。本稿では相反方程式の解き方を学びます。

必要な知識
- 数と式
- 二次方程式の解の公式
- 整式のわり算
- 因数定理



4次の相反方程式の解法


一般の4次相反方程式
\begin{eqnarray}
Ax^4+Bx^3+Cx^2+Bx+ A = 0
\end{eqnarray}
を考える。ただし、$A \neq 0$である。両辺を$x^2$で割ると、
\begin{eqnarray*}
Ax^2+Bx+C+\frac{B}{x}+\frac{A}{x^2} = 0
\end{eqnarray*}
となる。少し整理して、
\begin{eqnarray}
A\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)+B\left(x+\frac{1}{x}\right)+C = 0
\end{eqnarray}
とかけば、なんだか
\begin{eqnarray}
t = x+\frac{1}{x}
\end{eqnarray}
とおきたくなる。というのも、これを二乗すれば、
\begin{eqnarray*}
t^2 = x^2+\frac{1}{x^2}+2x\frac{1}{x} = x^2 + \frac{1}{x^2}+2
\end{eqnarray*}
より、
\begin{eqnarray*}
x^2 + \frac{1}{x^2} = t^2 - 2
\end{eqnarray*}
であるから、式(2)は
\begin{eqnarray}
A\left(t^2-2\right)+Bt+C = 0
\end{eqnarray}
となるからだ。これは$t$に関する2次方程式であり解の公式を用いれば、ただちに$t$は求まる。あとは、式(3)に代入して$x$を求めればよい。

例 4次方程式$x^4+3x^3-2x^2+3x+1=0$の実数解を求めよ。

この方程式は明らかに相反方程式であるから、両辺を$x^2$で割って、
\begin{eqnarray*}
\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)+3\left(x+\frac{1}{x}\right)-2 = 0
\end{eqnarray*}
となる。ここで、
\begin{eqnarray*}
t = x+\frac{1}{x}
\end{eqnarray*}
と置けば、
\begin{eqnarray*}
&& (t^2-2)+3t-2=0 \\
\Leftrightarrow && (t+4)(t-1)= 0 \\
\Leftrightarrow && t= -4, 1
\end{eqnarray*}
となる。
$t=-4$のとき、
\begin{eqnarray*}
&& -4 = x+\frac{1}{x} \\
\Leftrightarrow && x^2 + 4x + 1 = 0 \\
\Leftrightarrow && x = -2 \pm \sqrt{3}
\end{eqnarray*}

$t=1$のとき、
\begin{eqnarray*}
&& 1 = x+\frac{1}{x} \\
\Leftrightarrow && x^2 -x + 1= 0 \\
\end{eqnarray*}
この2次方程式は実数解をもたないから、答えは、$ x = -2 \pm \sqrt{3}$である。

5次の相反方程式の解法

一般の5次相反方程式
\begin{eqnarray}
Ax^5+Bx^4+Cx^3+Cx^2+ Bx + A = 0
\end{eqnarray}
を考える。ただし、$A \neq 0$である。この方程式は$x=-1$を必ず解に持つ。因数定理を思い出せば、式(5)は$(x+1)$で必ず割れるはずであり、実際に整式のわり算を行うと
\begin{eqnarray*}
(x+1)\left\{Ax^4+(B-A)x^3+(C-B+A)x^2+(B-A)x+A \right\}= 0
\end{eqnarray*}
となっていることが分かる(因数定理が分からない人はこの式を展開して式(5)になることを確かめよ)。左辺に現れた2つ目の因数は4次の相反方程式となっているので、前節の方法で解くことができる。

より高次な相反方程式の解法

たとえば、6次の相反方程式
\begin{equation*}
x^6+2x^5+3x^4+2x^3+3x^2+2x+1=0
\end{equation*}
は両辺を$x^3$でわり、整理すれば、
\begin{equation}
\left(x^3+\frac{1}{x^3}\right)+2\left(x^2+\frac{1}{x^2}\right)+3\left(x+\frac{1}{x}\right)+2=0
\end{equation}
となる。ここで、
\begin{eqnarray*}
t = x+\frac{1}{x}
\end{eqnarray*}
とおけば、
\begin{equation*}
x^2+\frac{1}{x^2} = t^2-2 \\
x^3+\frac{1}{x^3} = t^3-3t
\end{equation*}
である。ただし、$a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)$を用いた。これらを代入して、tに関する3次方程式に帰着できる(このtに関する3次方程式は高校の知識だけでは解けないので注意)。

このように2n次の相反方程式は両辺を$x^n$乗で割ることで、より低次の方程式に帰着できる

一方、(2n+1)次の相反方程式は必ず$(x+1)$を因数にもつ。奇数次の相反方程式を$(x+1)$でわって2n次の相反方程式がでてきたら、あとは上で紹介したように$x^n$乗で両辺を割ればよい。





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