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2015年3月3日火曜日

n次方程式の解と係数の関係

2次方程式ax^2+bx+c=0の解を\alpha,\betaとするとき、
\begin{eqnarray*}   \left\{     \begin{array}{l}       \alpha + \beta = -\frac{b}{a} \\       \alpha \beta = \frac{c}{a}     \end{array}   \right. \end{eqnarray*}
という関係が成立します(ただし、a \neq 0)。これは高校の教科書にも載っている重要な関係式で、2次方程式の解と係数の関係と呼びます。一般に解と係数の関係は方程式の係数が虚数でも用いることができました。高校数学の範囲内では根号内の虚数は処理できないので、解の公式は実係数の方程式でしか利用できませんが、解と係数の関係は虚数係数でも利用できました。
同様に、3次方程式ax^3+bx^2+cx+d=0の解を\alpha,\beta,\gammaとした場合は、
\begin{eqnarray*}   \left\{     \begin{array}{l}       \alpha + \beta + \gamma = -\frac{b}{a} \\       \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = \frac{c}{a} \\       \alpha \beta \gamma = -\frac{d}{a}     \end{array}   \right. \end{eqnarray*}
という3次方程式の解と係数の関係が成立します。

では、より高次な代数方程式における解と係数の関係はどうなっているでしょうか。本稿では4次方程式の解と係数の関係を求め、さらに高次な方程式の解と係数の関係を求めます。

なお、解と係数の関係を見つけたのは、アルベール・ジラール(1595-1632)だと言われています。

必要な知識
- 恒等式の係数比較
- n次の代数方程式にはn個の解があるという事実(代数学の基本定理)

指針:
4次方程式の解と係数の関係を求め、帰納的に5次以上の解と係数の関係がどうなっているかを類推する。





2次方程式の解と係数の関係

2次方程式の解と係数の関係を導出する。
主係数aはゼロでない数とする。考える2次方程式ax^2+bx+c=0の解が\alpha,\betaであるなら、
\begin{equation*} ax^2+bx+c = a(x-\alpha)(x-\beta) \end{equation*}
とかける。両辺をaで割り、右辺を展開すれば、
\begin{equation*} (x-\alpha)(x-\beta)=x^2-(\alpha + \beta)x+\alpha \beta \end{equation*}
となり、
\begin{equation*} x^2+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}=x^2-(\alpha + \beta)x+\alpha \beta \end{equation*}
である。この式の両辺の係数比較を行えば、
\begin{eqnarray*}   \left\{     \begin{array}{l}       \alpha + \beta = -\frac{b}{a} \\       \alpha \beta = \frac{c}{a}     \end{array}   \right. \end{eqnarray*}
という、2次方程式の解と係数の関係が求まる。全ての解をかけたものが、方程式の定数項をaでわったものになっている。

3次方程式の解と係数の関係


3次方程式の解と係数の関係を導出する。
主係数aはゼロでない数とする。考える3次方程式ax^3+bx^2+cx+d=0の解が\alpha,\beta,\gammaであるなら、
\begin{equation*} ax^3+bx^2+cx+d = a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma) \end{equation*}
とかける。両辺をaで割ったあとに右辺を展開すれば、
\begin{equation*} (x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=x^3-(\alpha + \beta + \gamma)x^2+(\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha)x - \alpha \beta \gamma \end{equation*}
となり、
\begin{equation*} x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}=x^3-(\alpha + \beta + \gamma)x^2+(\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha)x - \alpha \beta \gamma \end{equation*}
である。この式の両辺の係数比較を行えば、
\begin{eqnarray*}   \left\{     \begin{array}{l}       \alpha + \beta + \gamma = -\frac{b}{a} \\       \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = \frac{c}{a} \\       \alpha \beta \gamma = -\frac{d}{a}     \end{array}   \right. \end{eqnarray*}
という、3次方程式の解と係数の関係が求まる。全ての解を足すと-\frac{b}{a}となるのは、2次方程式の解と係数の関係のときと同じである。全ての解をかけたものが、方程式の定数項をaでわり、マイナスをつけたものに等しくなっている。また、二行目では方程式の次数(ここでは3)個だけある解から2つ選んでかけたものを全通り足している。

4次方程式の解と係数の関係


同様にして、4次方程式の解と係数の関係を求める。主係数aはゼロでない数とする。考える4次方程式ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0の解が\alpha,\beta,\gamma,\deltaであるなら、
\begin{equation*} ax^4+bx^3+cx^2+dx+e = a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)(x-\delta) \end{equation*}
とかける。両辺をaで割ったあとに右辺を展開すれば、
\begin{equation*} (x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)(x-\delta) \\ =x^4-(\alpha + \beta + \gamma + \delta)x^3+(\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \delta + \delta \alpha + \alpha \gamma + \beta  \delta)x^2 - (\alpha \beta \gamma + \beta \gamma \delta + \gamma \alpha \beta + \alpha \beta \delta ) x + \alpha \beta \gamma \delta \end{equation*}
となり、
\begin{equation*} x^4+\frac{b}{a}x^3+\frac{c}{a}x^2+\frac{d}{a}x+\frac{e}{a}\\ =x^4-(\alpha + \beta + \gamma + \delta)x^3+(\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \delta + \delta \alpha + \alpha \gamma + \beta  \delta)x^2 - (\alpha \beta \gamma + \beta \gamma \delta + \gamma \alpha \beta + \alpha \beta \delta ) x + \alpha \beta \gamma \delta \end{equation*}
である。この式の両辺の係数比較を行えば、
\begin{eqnarray*}   \left\{     \begin{array}{l}       \alpha + \beta + \gamma + \delta = -\frac{b}{a} \\       \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \delta + \delta \alpha +\alpha \gamma + \beta \delta= \frac{c}{a} \\       \alpha \beta \gamma + \beta \gamma \delta + \gamma \alpha \beta + \alpha \beta \delta  = -\frac{d}{a}\\       \alpha \beta \gamma \delta = \frac{e}{a}     \end{array}   \right. \end{eqnarray*}
という、4次方程式の解と係数の関係が求まる。全ての解を足すと -\frac{b}{a} となのは2次、3次のときと共通である。また、全ての解をかけたものが、方程式の定数項をaでわったものに等しくなっている。二行目では方程式の次数(ここでは4)個だけある解から2つ選んでかけたものを全通り足している。三行目では方程式の次数(ここでは4)個だけある解から3つ選んでかけたものを全通り足している。

n次方程式の解と係数の関係

ここまで実際に手を動かして求めた人は、規則に気が付くはずである。a_n \neq 0として、n次方程式
\begin{eqnarray*} a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+a_{n-2}x^{n-2}+\dots+a_1x+a_0=0 \end{eqnarray*}
の解を\alpha_1,\alpha_2,\alpha_3,\dots,\alpha_nとすれば、


という、n次方程式の解と係数の関係が求まる。

ただし、ここで用いた
\begin{eqnarray*} \sum_{\substack{ (i,j) \\ i < j }} a_i a_j \end{eqnarray*}
という記法は、重複をさけるための条件 i < j を満たしながら、考え得るすべての(i,j)の組み合わせに関してa_i a_jを足し合わせていくということである。なお、式を見やすくするために四行目以降は重複をさけるための条件を記していないが、いずれの総和記号も重複をさけて足し合わせていることに注意

最後の式は、
\begin{eqnarray*} \sum_{(\underbrace{i,j,k,l,\dots}_{nコ})} \underbrace{\alpha_i \alpha_j \alpha_k \alpha_l \dots}_{n個} &=& \prod_{i=1}^n \alpha_i \\ &=& \alpha_1 × \alpha_2 × \dots × \alpha_n = (-1)^n \frac{a_0}{a_n} \end{eqnarray*}
と書き直せる。総乗記号の詳しい使い方はこちら(クリック)

以上の議論は方程式の係数が虚数でも全く同じようにできる。解と係数の関係は、係数が虚数でも実数でも使える。


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