\begin{equation*}
y=|f(x)|
\end{equation*}
がどんな形になるか即答できる人は多いですが、
\begin{equation*}
y=f(|x|)
\end{equation*}
がどんな形になるか即答できる高校生は少ないです。さらに
\begin{equation*}
y=|f(|x|)|
\end{equation*}
はどういう形になるでしょう。
本稿ではこうした絶対値を含む関数を見てみます。
必要な知識
- 実数の絶対値の意味
- 三角関数のグラフの形
まずは、代数的な方程式を採用する。関数$f(x)$を
\begin{equation*}
f(x) = x^3-3x+2
\end{equation*}
とする。これのグラフは次の通り。
微分して極値を求めれば簡単にグラフはかけるはずだ。
次に、$|f(x)|$を考える。つまり、
\begin{equation*}
y = |x^3-3x+2|
\end{equation*}
をグラフにする。任意の実数$a$に関して$|a|>0$であることをヒントに
となることが納得できるだろう。$y$は負をとりえないので、$y=0$において反転されたようになる。
次に、$f(|x|)$を考える。つまり、
\begin{equation*}
y = |x|^3-3|x|+2
\end{equation*}
を考えるということだ。これは$x$に絶対値の同じ正の数と負の数をいれてみるとわかる。たとえば、$+2$をいれれば、
\begin{equation*}
|2|^3-3|2|+2 = 8 - 6 + 2 = 4
\end{equation*}
で$-2$をいれれば、
\begin{equation*}
|-2|^3-3|-2|+2 = 8 - 6 + 2 = 4
\end{equation*}
である。あきらかに、任意の$a$に関して、$f(|a|)=f(|-a|)$であるから、$x=-a$のときと$x=a$のときで値は同じはず。つまり、$y$軸に対して対称なグラフになるはずである。実際にグラフにしてみると、次のようになる。
次に$|f(|x|)|$について考える。これはどうなるだろう?
難しく考える必要はなく、$f(|x|)$としたときの効果($y$軸で対称)と$|f(x)|$としたときの効果($x$軸で反転)の両方が生じる。ただし、今回は$f(|x|)=|f(|x|)|$がたまたま成立するのであまり面白くない。
そこで、もう少し複雑な関数$f(x)=\sin x + \cos x$においても同じことが言えるのを確かめてみよう。まずは、$y=f(x)$をグラフにすると次の通り。
これは三角関数を合成すれば、コンピュータに頼らずとも作図できるはずだ。
次に、この関数全体に絶対値記号をつけて
\begin{equation*}
y=|\sin x + \cos x|
\end{equation*}
をグラフにすると、次のようになる。
確かにx軸で反転している。続いて、$f(|x|)$、すなわち
\begin{equation*}
y=\sin |x| + \cos |x|
\end{equation*}をグラフにすると
となり、やはりy軸に対称である。
次に$|f(|x|)|$について考える。これはどうなるだろう?
$f(|x|)$としたときの効果($y$軸で対称)と$|f(x)|$としたときの効果($x$軸で反転)の両方が生じるのだから、
\begin{equation*}
y=| \sin |x| + \cos |x| |
\end{equation*}をグラフにしてみると次のようになる。
まとめ
関数$y=|f(x)|$は$y=f(x)$を$x$軸で反転させたもの
関数$y=f(|x|)$は$y=f(x)$を$y$軸対称にしたもの
関数$y=|f(|x|)|$は$y=f(x)$を$x$軸で反転させ、$y$軸対称にしたもの
という結論が導けた。
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