2015年3月8日日曜日

√(素数)は無理数であることの証明

自然数$n$が素数であるならば、$\sqrt{n}$は無理数であることを証明します。

$\sqrt{2}$が無理数であることを証明しろという大学受験の定番の問題よりも一般性の高い問いです。


必要な知識
- 背理法



当然、これも背理法で攻めます。

証明その1


素数$n$に関して$\sqrt{n}$が有理数であると仮定すると、整数$p,q$を用いて、$\sqrt{n}$は
\begin{equation*}
\sqrt{n} = \frac{q}{p}
\end{equation*}
という既約分数で表される。両辺を二乗して、
\begin{equation*}
n = \frac{q^2}{p^2}
\end{equation*}
両辺に$p^2$をかけて、
\begin{equation}
np^2 = q^2
\end{equation}
を見る。$q^2$が素数$n$の倍数であるから、$q$も$n$の倍数である。したがって、適当な整数$Q$を用いて$q=nQ$と表せる。すると(1)より
\begin{equation*}
np^2 = n^2Q^2
\end{equation*}
とかける。両辺を$n$でわれば、
\begin{equation*}
p^2 = nQ^2
\end{equation*}
となる。$p^2$が$n$の倍数となるので、$p$も$n$の倍数となる。

$p$も$q$も$n$の倍数であるというのは、$\frac{q}{p}$が既約分数であるということに矛盾する。

よって、$\sqrt{n}$は無理数である。


補足:上の証明が理解できない場合は下の定理を確認しよう。

自然数の積$p×q$が素数$n$の倍数ならば、$p,q$の少なくとも片方が$n$の倍数である。
よって$p^2=p×p$がnの倍数ならば、$p$と$p$の少なくとも片方が n の倍数である。
すなわち $p^2$が$n$の倍数ならば $p$ も $n$ の倍数である。


証明その2(実は証明その1と全く同じ)

素数$n$に関して$\sqrt{n}$が有理数であると仮定すると、1ではない整数$p$と適当な整数$q$を用いて、$\sqrt{n}$は
\begin{equation*}
\sqrt{n} = \frac{q}{p}
\end{equation*}
という既約分数で表される。両辺を二乗して、
\begin{equation*}
n = \frac{q^2}{p^2}
\end{equation*}
とかける。ところで、素数は整数であるが、右辺はこの分数が既約であるという仮定から、これ以上は約分することができないので、整数ではない。

整数=分数 となり、矛盾。よって、$\sqrt{n}$は無理数である。

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